三保の松原
三保の松原は日本最古の万葉集にも歌われている平安時代から有名な景勝地です。
駿河湾を挟んで富士山を眺める。歌川広重の浮世絵『駿河 三保のまつ原』でも描かれた素晴らしい景色であまりにも有名です。
三保の松原は、羽衣伝説の舞台でもあります。
羽衣伝説とは、三保に白龍という名前の漁師がいて、三保の松原で、漁をしていました。
そして、どこからか、もっすごいいい香りがしてきました。
その香りに導かれ行ってみると、一本の松に美しい羽衣が掛けてありました。
漁師は、その羽衣を家に持ち帰って宝にしようとした時に、木陰から美しい女の人が『それは私の着物です。』と声をかけてきました。
その女の人は、『私は天女です。その羽衣を返してください。それがないと天に帰れません。』と言い、もっすごい悲しそうにしてました。
白龍は、羽衣を返す代わりに舞を踊ってって頼みました。
天女は快く承知したのですが、白龍は返したら舞を舞わずに天に帰るんじゃないかと思いました。
それで、白龍が返すのをためらっていたら、天女は、『天井の世界では、疑いや偽りなんかありません。』ときっぱり言ってきました。
白龍は、自分の浅ましさが、恥ずかしくなり、羽衣を天女に返しました。
天女は羽衣を身につけると、優雅に舞を舞い始めました。何故か?笛太鼓の音が鳴り始め、いい香りまでしてきました。
白龍がそれをみてると天女は天へと上りはじめみるみるうちに愛鷹山から富士の高嶺に消えていきました。
っていう伝説です。
他にも、羽衣伝説には、各地に色々な別の話があります。
なにはともあれ、三保の松原は、神秘性が高く多くの人々を魅了しています。
魅了されているのは、日本人だけではないんです。
フランスの舞踏家 エレーヌ・ジュグラリスも三保の松原の羽衣に惹かれ。
能の調査・研究を重ね。『羽衣』という作品を作りました。
エレーヌは、来日して三保の松原に行くことを願ってましたが、35歳の若さで憧れの三保の松原に行くこと叶わずこの世を去りました。
エレーヌの夫 マンセル氏は、エレーヌの遺志を果たすためエレーヌの遺髪を携えて三保の松原を訪れました。
この話に感銘を受けた地元の方々がエレーヌの功績を讃え『エレーヌの碑(羽衣の碑)』を建て、彼女の遺髪を納めました。